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「トータスクラブ・ニューズレター」2009年07月31日(0007)


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トータスクラブ・ニューズレター Vol.0007 2009/7/31
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◆今最も旬な「名義書換プラン」について

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株式会社トータス・ウィンズ 代表取締役 亀甲美智博 (CFP)
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逓増定期保険は保険料の半分を損金で落せるので、役員の退職金プランとして利用
するケースが多い。

つまり会社のキーマン(役員)の死亡保障とともに、外部(保険会社)拠出型の退職給
与引当金としての性格がある。役員死亡時には保険金が死亡退職金として機能し、
勇退時には解約返戻金が退職金原資として利用できるという、極めて使い勝手の良い
保険プランである。


50代60代の役員が退職するタイミングは、概ね5年から10年と考えられるので、逓増
定期保険の解約返戻率のピークと退職までの期間をうまく合わせることで、最大の効
果を発揮できるわけである。まあ通常はこのような考え方で保険設計をすればまず問
題は生じないものと考えられる。

ところが、同族会社の代表取締役の場合、想定したような期間に勇退できるかどうか、
きわめて不安定である場合が多い。

つまり、後継者にそのタイミングでバトンタッチできるかどうかということや、役員在籍
期間が短くて退職金の損金算入限度額が少ないなどという問題も起きる。
このようなケースでは、逓増定期保険を活用するのが、困難なケースも出てくる。


そこで逓増定期保険を利用した「名義書換えプラン」の登場となる。
このプランは会社で加入した法人契約の逓増定期保険の保険料を4回払った段階で、
社長が個人で買い取るのである。

なぜ買い取るかというと、この保険は4回払った段階では解約返戻率が極めて低く
(55歳男性マスミューチュアル生命の場合)、返戻率が29%しかない。

ところが社長名義にしたこの保険を、第5回目の保険料を社長が個人で払ったのち
解約すると、返戻率は一気に96%に跳ね上がる。会社から個人に保険契約を譲渡
(売却)する場合の保険の権利の評価については、払い込んだ保険料累計額でも、
バランスシートの保険料積立金の額でもなく、解約返戻金の額による。(所得税法
基本通達36-37)


その結果、社長は低い返戻金のところで保険の譲渡を受け、後日解約返戻金が上が
ったところで解約することで、社長はこの差額のメリットを享受できるということになる。

このような手法で、退職金によらない資金を社長が会社から受け取ることができるので
ある。ちなみに社長が受け取った解約返戻金は返戻率が100%を超えないため、所得
が発生しない。

つまり課税しようにも、所得そのものが生じていないのである。
この際、会社が払い込んだ保険料を社長の所得計算上、費用としてみなしうるかどうか
の疑問が生じる。しかし、それに関しては、会社が保険料を支払った権利も、社長が買
い取ったとみなしうるとの見解が出ている。

しかしながら、このような法人個人間の保険の譲渡について、法人が譲渡した際の評
価額に関し、本当に税務上の問題は生じないかという疑念が依然として残るのも事実
である。


たまたま逓増定期保険の低解約返戻金型であるということで、ここに落差が生じるのだ
が、これが標準型であったり、長期平準定期保険であったりした場合、問題が生じるだ
ろうか。

その場合、特段の問題が生じるという認識はほとんどないのであるが、低解約返戻金
型の逓増定期だけが非難されるというのも、またおかしいのではないかと思われる。

即ち最終的には解約返戻金はゼロである逓増定期保険の権利評価額を、いったいどの
ように合理的に算出したらよいかという基準が出せない。現行の基本通達では、保険
種類ごとの評価方法を決めているわけではなく、低解約返戻金型の商品への拘束力は
ない。


このようなことを考慮するに、現段階で、このような手法が税法上問題違法行為であると
の見解には、法的根拠はないと考えるべきであろう。

しかしながら、国税当局では、「そもそも通達そのものが、このような契約パターンを想定
していないので、このような税務上の処理に関し、通達に無理やり当てはめること自体い
かがなものか」といった声が出始めている。

そこで、この名義書換えプランでは、移転後すぐに解約してしまうのではなく、保険として
保持(払い済みにして終身保険化、失効状態で保有)する等の対策が将来必要になる
ことも前提にすべきであろう。


税法上の問題とは別に、商法上の取締役の責任の問題もあろう。このスキームを上場
会社などで実行した場合、株主代表訴訟のおそれも出てくる可能性がある。

しかし、オーナー会社の場合、株主=経営者であるケースが大多数であり、そのような
問題は考慮する必要はないと考えられる。

むしろ、社長がこのスキームで「自分の懐が潤う」一種の後ろめたさが契約実行を躊躇
させる阻害要因となることが考えられる。

その場合、一旦社長の資産が増えたものを、そこで留めず、また会社に還流させる、
つまり社長がその資金を使って増資する、事業承継人に相続時精算課税制度を使って
贈与する(その場合社長の年齢が65歳以上という制約があるが)などの、方法も有効な
ものとなろう。


このようなスキームを実行するには、さまざまな要素が絡むので、単に会社の資産を個人
に移転するスキームといった短絡な方法では、税務上や商法上のリスクもあるだけに、
十分契約者の理解と判断を求める必要がある。

代理店にとっても「諸刃の剣」ともなるので、かなり難易度の高いプランニングであること
を自覚していただきたい。


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編集後記 生越由美AFP
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高度な提案をするにあたり、出口の効果まで検討しなければならないが、それには単なる
保険税務の知識だけではなく、法人税法・所得税法・相続税法の知識も必要なのですね。

また、会社という観点でみると、ステークホルダーの利益を尊重する点なども念頭におき
つつ、多面的な要素の検討もしなくてはならない。具体的なケースで分かりやすい事例
でした。




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